スーパー歌舞伎「三国志U」録音
(モスクワ・フィルハーモニー・オーケストラ)(モスクワ) (20-23 Mar,2001)


作曲家の加藤氏、音響の本間氏、そして港氏らとともに、スーパー歌舞伎の音楽録音をしてまいりました。
4日ある録音日程のうちの初日で私の分を先録りしました。I have to go back to Japan だったのです。
そんな強行日程のモスクワ紀行、いよいよUpです。

■3.19 MON
【準備】
午後に、マネージャーの森田氏が、持っていく中国箏の梱包資材を持ってきてくれた。明日、飛行機でモスクワ(ロシア)まで運ぶためである。 私の持っている中国箏は、ハードケースに入っていて、重くて自分ひとりだと持つのが大変なので、普通の、本当にごく普通の日本の二十絃箏のケースで持っていくことに。 タイの時みたいに海外用のウレタンケースを借りようかとも思ったけれど、いける!と判断。問題は気温かな。できれば機内に持っていきたいですよね。(タイの時はだめでした)
行ってすぐ帰ってこなければならないので、自分の荷物もほとんどない。
箏とBag1つ(箏の道具がほとんど・・・)。準備完了!

■3.20 TUE
【成田エクスプレス】(7:00)
まずは、7時新宿発の成田エクスプレスに乗ること。すべてはここから始まるのです。 私が仕事をする上で、この出だしが最大の難関なのです。(エピソードを参照)
無事、もちろん余裕を持って到着。遅刻できないので、しっかりと徹夜しました。寝落ちがこわかったけど、がんばって起きていました。 電車も飛行機も寝ていく予定だったので・・。
7号車に乗ると、外人さんと話している日本人女性がいました(若い)。英語が自由に使えていいなぁなどと思いつつ、転寝Modeに突入。 箏は、まぁ、盗まれることはないでしょう。
途中から電車のスピードが極端に落ちました。時間はいっぱいあるけれど、なんとなく不安。
するとやはり車内放送が。プレーキ故障の為、列車交換とのこと。
(あぁ、荷物あるのに、面倒くさいなぁ)
(まぁ、事故するよりはよいか)
止まった駅は品川。待つこと10分くらいかな。次にきた成田エクスプレスに乗車とのこと。
え?
え?
(満席のエクスプレス(11号)に、私たち(9号)が乗るの?)
駅の人も車掌さんも、
「9号のお客様には全額返金いたします。どうかこの列車にお乗りください」
こう叫んでいました。全指定席のエクスプレスでなぜ、立っていかねばならないのだ。お金といったって、たいした額ではないし。 寝る予定が・・なぜデッキ。しかも人いっぱい。かなりJRが嫌いになりました。 ここでわがままいっても空港にはいかないといけないので、みんな仕方なく乗り換え。予約して乗車券買って、座れなくて、お金返すといわれてもねぇ・・・。
(まだいっているやつ)

【成田空港(みどりの窓口)】(10:00)
やっとこさ成田空港第二に到着。箏があるので最後尾で改札へ。時間に余裕がありすぎるので無駄遣いできる(笑)。 改札を出るときに駅員さんが9号の乗車券をみて、
「この先の窓口で返金しております」
と親切にいってくれた。先ほど嫌いになったJRのことがほんの少しだけ嫌いじゃなくなりました。
さて、やってきましたみどりの窓口。この乗車券って3000円ちょっとなんだよね。内、特急券代が1600円くらいかな。 窓口もほとんどひとがいなかったのですが、どうやら3つあるうちの2つでトラブルしていました。 とりあえず近くに箏を立てかけて、私も後ろに並びました。
女の子二人組みと窓口の女性、おじさんと窓口のおじさん、どっちも怒っていました。朝から怒らなくても・・・ねぇ。
様子をみていると、どうやら乗車券のトラブルらしい。しかも私と同じ9号エクスプレスだった人たちみたい。お金が返ってこないとか、なんとか。 おじさんなんて、窓口の机をたたいて怒っていました。さて、私の番。

雅葉:「すみません、9号のものですけど」
窓口:「はい、返金ですね。特急料金の半額しかもどりませんが、よいですか?」
雅葉:「(・・・よいですかってあなた・・・なにいってるの)」
雅葉:「全額返ってくるのでは?品川駅で駅員さんと車掌さんがいっていましたよ」
窓口:「規則ですから」
(つまり、なんですか?特急券の半額800円を返してもらうか、返してもらわないかしか選択肢がないと?)
雅葉:「あの・・、こちらは予約して券を買っているんですよ。荷物もあるのに。事故するよりは車両を換えたほうがよいけれど、 デッキに立ってきたのですよ。あんな荷物もって。全額返してもらったってたいした額ではないけれど、誠意がないのですか?」
窓口:「でもお客様はエクスプレスに乗ってきましたよね。それでしたら規則で特急券の半額しかお返しできません」
雅葉:「乗ってきましたよね・・・って。これに乗り換えろと駅員さんに言われ、お金は返すから乗り換えてくれといわれたのですよ」
窓口:「規則ですから」
(思いっきり腹がたってきた)
雅葉:「私としては特急券だけでなく、乗車券の払い戻し、プラス、精神的肉体的疲労分をいただきたいくらいなのですけど。こういう対応されると」
窓口:「お客様、そういわれましても・・・」
雅葉:「よく上の人と話し合っておいてください。3日後にまたここよりますから。」

そんな会話でした。私もたいした金額ではないけど、JRにとってもたいした金額ではないでしょうに。
駅員さん・車掌さんのいった言葉と窓口の対応がまったく違う。少しおかしくないですか?JRさん。
ロシア行く前にものすごく嫌な気分になりました。かなり嫌。話している言葉の端に誠意がないものだからほんとうに嫌になる。 2時間立ってきた人間に対する言葉がなっていないね。怒っているから思ったのかもしれないけど、なんか窓口の人かわいそうだね。 ロボットみたいだった。規則ですから・・・。公務員だね、やっぱり。品川駅とか9号の車掌さんたちのほうが誠意があったよ。

【成田空港】(11:00)
いやなことのあった後。ゲートのところで加藤氏、本間氏、港氏と合流。荷物チェックのためX線に通す。 ゴロゴロされるのが嫌で、前回タイのときは、手で検査してもらった。今回もそれをいうと、係りの感じ悪いおじさんに、

おじさん:「ここ通して!」
まさのぶ:「あっちで手で検査していただけませんか?」
おじさん:「なにいってるの、全部ここ通して!」
まさのぶ:「楽器なんですけど、壊れやすい・・・」
おじさん:「いいから通して!」

うーん、うーん。だから、通すのはいいのだけど、誠意が・・・。 そりゃ、毎日同じことばっかやっているからかもしれないけど、誠意がない。 こっちはめったに乗らない客なのに・・・。JRといいダブルで嫌な気分を味わってしまった。 ただ単に私がわがままなだけなのか・・。
アイロフロート(たしか・・)の係りのおじ様は、とても親切でした。若い人たちも親切でした。 荷物を通してからあと、荷物を預けたりするのはとても親切丁寧でした。 楽器ということもよく理解してくださって、なんと機内持込OKにしてくれました。
感謝!

【空港内】(11:00)
さて、荷物を預け終わってまだ二時間近くも時間がある。さささぁぁとみんなどっかにいってしまった。 買い物とか、お茶したりするのだろう。私は機内持込する箏があるため、あまりあちこち行けない。というか、行くのが面倒。 とりあえず、荷物あずけて出たところ(まだGATEに入る前)で悩んでいると、あれれ?知った顔が。男性二名、女性一名。
尺八の柿堺香(かきざかい・かおる)氏たちでした。どうやら同じ飛行機らしい。 私はモスクワ、彼らは・・そこから乗り継いでいくらしい(地名を聞いたのだけど忘れた)。 しばらく世間話をした後、彼らは喫茶に、私は箏を持って待合ロビーへと向かいました。
荷物があるって不便ですね。

【待合ロビー】(12:00)
さてさて、やってきましたロビーです。私が3番目くらいでした。1時間半前ではあたりまえですね(笑)
箏を壁際に立てかけて、お茶でも・・ビールでも・・と思ってそこにある売店にいくと、高い!
喉が渇いていたのだけど、実は6000円しか持ってこなかったので、なんとなく節約。 #800円、ここは耐えるか、JR(ジェイアール)
いやいや、帰ってきたら文句のもの字をいってやる!けど、喉の渇きは我慢か。動かずじっと1時間半。 1時間くらい前からぞくぞくと人がやってきた。そりゃそうですよね。早くにロビーにきてもやることないし(笑)
まぁ、ゆっくりとしたと思えばね。(寝ていないやつ>私)

【搭乗】(12:45)
空港が人であふれてきました。パイロットとスッチーもきました。なんとロシア人でした。あたりまえか。アイロフロートだものね(笑)
日本人の搭乗手続きの女性が何人かやってきました。 いよいよ搭乗か・・・と期待を膨らませていると、そのうちの一人が箏を見て、隣にいるおばさまになにやら話し掛けていました。 そう、私は箏を壁際、自分は窓際で外を眺めていたのです(おいおい)
気になったので、その箏の横に座っているおばさま二人のところにいって、

まさのぶ:「今、この箏のことで何かいわれましたか?」
おばさま:「えぇ、持ち主を探していたみたいです。」
まさのぶ:「持ち主は私ですけど・・(笑)」
おばさま:「(笑)」
小さなコミュニケーションの後、係の女性のところへ。
雅葉:「あの箏の持ち主ですが・・・」
女性:「あぁ、今探していたのです。」
雅葉:「中垣です。何か?」
女性:「先に搭乗なさってください。大事な楽器ですので。」
ぬぉぉ。なんと親切な!
というわけで、一人先に搭乗してしまいました。少し恥ずかしかったけど。
箏の置き場所を探して、客室乗務員の方とあーだこーだと。結局、ビジネスシートの最後尾座席の後ろの空間に置くことに。
よかったよかった。Thank Youの連発でした。
(スパシーバではないのか?>自分)

【機内】(13:00 - 17:00)
今回はビジネスクラスだったので、9時間の飛行が多少楽でした。 隣に本間氏がいらっしゃったので、いろいろな話がきけました。 さまざまな仕事をなさってきていらっしゃる方でした。さんざん港氏と本間氏と話し、着陸するころに眠る私(笑)
今回は、機内食をちゃんと2回食べました。飲み物も、ジュースと水とコーラとビールを飲みました。 何回もききにきてくれるので、遠慮なく飲みました。機内ってやることないんですよね・・・。
ファーストクラスの加藤氏から、MDと楽譜を渡され、
「今回はこの8曲を録音するからよく聴いておいて」
と言われ、着陸するまで3回程聴きました。このままでも使えてしまう・・・綺麗でした。シンセは凄い!

【モスクワ】(16:30)
寒い寒いといわれていたモスクワ。寒くない。空港内だから当たり前ですが。
第一印象、暗い!
夕方なのもあるけど、どうやら電気が不足気味らしい。うーん。東京って明るい街なのね。
迎えがきていて楽器とともに、ホテルに移動しました。まだ寒さは感じません。

【ホテル】(18:00)
さくっとチェックインを済ませて、1時間後に下に集合とのこと。 その間、楽器だして、調整と糸の張替えをしました。 15分くらい時間あまったので、TVでもみようかと思ったのですが、なんと、日本語がない。しかもチャンネルがよくわからない。 ヨーロッパとアメリカのチャンネルはあるのに、日本のが・・・。
あるわけないか(笑)
ホテルの周りみてこよう!と思い立ち、15分の散歩。
寒いぞ!
やっぱり寒いです。雪降ってるし。けれどだれも傘なんぞさしていない。そう、振り払えばさらさらと落ちていく雪なのでした。感激!

【ラウンジ】(19:00)
1Fのラウンジで集合。機内で食べてきたのでお腹そんなにすいていない私。加藤氏が、
キャビア食べるか?」
といってくれたのですが、私は社長の厳命があったので遠慮。あぁ、キャビア。その厳命とは、
---- 録音が終わって、加藤氏によかったといってもらえてからご馳走になれ! ----
なんて重い厳命でしょう!他の三人が、山盛りのキャビアを食べている横で、スープを飲んでいた私。
あぁ辛い。(自分で注文すれば問題はないのだが・・・・ねぇ)
明日こそちゃんと録音してご馳走になるぞ!
固く決意した瞬間でした。

【散歩】(20:00)
みんなで解散して、けれどやることのない事を知っている私。 港氏を誘い、散歩にいくことに。本当に寒かった。 ホテル周辺・・・といっても、赤の広場前なので、道路くぐってすぐなのです。 RED SQUAREと呼ばれるその広場、広い。そしてカップルが多い。こんなに寒いのに。 地下は怪しい雰囲気でした。ゲーセンなんだかなんなのか、よくわからないので踏み込まず、散歩。
赤の広場に出る(地下から地上へ)と少し歩いて警官が・・・。二人組みの・・・。
(恐いです)(笑)
パスポートとビザをみせろ・・・というので、・・・って持ってないっす。二人とも持っていない。ホテルにある。 ホテルのカードKeyを見せて、そこのホテルだ!というと、解放された。よかったよかった。
そのまままっすぐホテルに帰る(笑)
なんでこんなにあっちこっちに警官がいるのだぁ・・・。仕事熱心なのだか、治安が悪いからなのか・・・。
うぅ、寒ぅっ!

【Room】(24:00)
部屋に帰ると、箏の練習をしました。 他にやることがないから・・といえばそれまでだけれど、楽譜をスコアでいただいた(機内で)ので、練習。 多少の音の変更が確認されたので、それに合わせて練習。調絃の調整もして、また練習。 ごろっとしてから、また練習。
そんなこんなで12時になりました。Good Night モスクワ!

■3.21 WED
【朝食】(8:00)
しっかりと6時に目が覚めてしまった。 昨夜、モーニングサービスを8時としてしまったため、2時間ほど時間がある。 特にお腹も空いていないので、眠気覚ましにお風呂へドボン!
私にしては珍しく1時間近くBathRoomにいた。(決して1時間浸かっていたわけではない)
指がふやけているので、箏はさわらず、英語の新聞があったので、読んで時間つぶし。
(おいおい、読めるんか・・・)
7時半頃になると指もおちついてきたので、今日の録音の練習。そしてドアをノックする音が。
ボーイさんが、モーニングを持ってきてくれた。よくわからないまま注文したらしく、どどーんときた。 これは残しては悪いと思い、これまた1時間近くかけて食事。
そして食べ終わったとき、気づいたこと一点。
*** チップ渡さなかった・・・
といっても、ロシアのお金持っていない。すぐさまフロントにいって両替してもらう。 2000円分両替。
相場は1$=27〜30ルーブルくらいでした。チップの相場も大体1$くらいとのこと。
(これで残金4000円)(汗)
おおまかに1ルーブルが4〜5円くらいかな。
ついでにMorningを片付けてくれとフロントにお願いした。 電話でどれ押すとフロントにつながるかわからなかったのも1つ(笑)
さっきのボーイさんがまた下げにきてくれた。そのときに、1ルーブルが100コピーカ(コピーク?)と教えてもらった。 もちろん、チップも渡しました。笑顔が素敵なホテルです。

【散歩】(10:00)
ある程度練習終わり。切れかけていた20、21本目の絃を新しく張替え、準備完了。 といってもすることないので、表に散歩にいきました。赤の広場をぐるーっと一周。 広かった。寒かった。その広場脇になぜか外国人目当てのPizzaのお店が。とりあえずそこに入ると・・高い。値段が。 オレンジジュースが一杯40ルーブル(200円弱)。日本では普通だけどねぇ。 だって、道のスタンド(売店)で売っているのは10ルーブルいかないのだよ(笑)
といってもしょうがないので、そこで1時間ほどオレンジジュースで潰す。何をしていたかって?
加藤氏からお借りしているMDとスコアをみて4回ほどきいていました。店の中が暖かいので、眠くなってくる私。 これではいかん!とホテルに戻りました。歩道橋とか横断歩道がなく、地下道なんだよね。この広場の周辺は。
とりあえず、POLICEに捕まらなかったのでよかった(笑)

【集合】(12:30)
ロビーに12時半集合だったので、部屋でまたうとうとと。 けど、眠れるわけもなく、TVあるわけでもなく。 箏と道具持っていくと、迎えがきていました。アンドレ氏のお迎え。チャイコフスキー財団の方です。 私の乗った車は他の機材やら楽器(和太鼓など)と一緒のワゴンで、運転手さんはアンドレ氏ではなく、ロシア人。
(当たり前だってば)
その人の運転・・・恐かった。揺れが・・・なんというか。恐かった。ロシアって車おおいのですよ。東京みたいに渋滞だらけ。 しかも車線がないものだから、ぐちゃぐちゃ(笑)割り込みありあり。なんでもありあり。私だったらきっと恐くて運転できないと思います。
(おいおい、免許持っていないだろーが・・・)
そんなこんなでモスクワ放送局に到着!

【モスクワ放送局】(1:00)
広いスタジオ。オーケストラの椅子もでていてあとは人がくるだけ。 2時半開始だったので、時間がまだある。人はまだいない。 本間氏と港氏と3人で、向かいの食堂(社員食堂みたいなものか?)に入る。 学食みたいに、好きなものをとっていって、最後に清算という形式でした。 わけのわからないサラダっぽいやつと、なんかの実がはいっているジュース(茶色で濁っている・・・)、 そして前の人が頼んでいたスープ、パン、そして清算。 36ルーブル!
朝のオレンジジュースより食事の方が安い!(嘘みたいだ)
この濁っている飲み物は、カリンみたいな味がしました。甘いような・・薬のような。 そしてサラダ(豆サラダ・・・ではないけれど近いものはある)もおいしかった。いいねぇいいねぇ。スープは、想像通りおいしい。 素晴らしいですね。おいしくて安い。これ鉄則!

【録音】(14:30)
やっとパート譜をもらえました。よかったよかった。私は明日帰国するので先録りです。
A-mol(6曲)、G-mol(1曲)、H-mol(1曲)なのですが、今回のためのオリジナル調絃にしているため、21本総移動です。録音だからできる技(笑)
とにかく練習が始まりました。それもしっかりとオンタイムで。すごいです。本当にオンタイム。だれもうるさく言わないのにオンタイム。 さすがプロですねぇ。
このオーケストラは、モスクワ・フィルハーモニー・オーケストラというそうです。 指揮者のユーリ氏も音響室にいる女性の方もロシア語でいくので、わけがわからない(笑)。なぜ今やり直しになったのか。どこが悪くてもめているのか・・・。 困ったものですねぇ。
「ナンバー158」とかいってくれるのは曲のMナンバーらしい。ところが、曲の途中がわからんのよ。
「2ビフォアァ2バー」私の耳にはこうききとれた。 ビオラのトップのおじ様(スレンダーでダンディー)と後ろの(クラリネットかな、なんだったかな)若い方が簡単な英語で通訳してくれたのです。
(スパシーバ)
さて、この英語は?どうやら、"2 before 2 bars" らしいのです。これも合っているかは不明(爆)
練習番号2の2小節前からね、みたいなものかな。いやはや赤面ですね。Barって小節のことみたいです。
一言いっていいですか?ロシア語で進行していくので、いつが本番なのかがわからないのです。気がつくと、もう次の曲にいっていて、
「あれ?今のが本番だったの?」
の連続。前では加藤氏がにやにや・・と。見抜かれていたかも・・・。騙し討ち状態の私を(笑)
私が間違えてしまうと、すかさず四方から

「Don't Worry」
「OK OK once more!」
と声がかかります。みなさんとてもやさしい方たちです。
そんなこんなで20時過ぎに今日の録音は終了。お疲れ様でした。

【ボルシチ料理】(21:00)
今日はキャビアだ!と思っていたらボルシチ料理のお店にいくことになりました。 ●●氏、アンドレ氏、ユーリ氏、加藤氏、本間氏、港氏、●●氏、私の8名です。雰囲気のあるお店でした。 前菜とは知らず、「食べろ食べろ」といわれるままに食べていたら、メインのお肉さんがでてきたときには既にお腹が一杯でした。
前回タイではテキーラなる無色透明の劇薬を飲んで失態をしてしまったので、・・・・・と思っていたら、今回もまた無色透明の劇薬スコッチなるものが登場しました。 アンドレ氏いわく、これは一気に飲んで(ショットグラス)その後すぐ、お水(炭酸のはいってるやつ)を飲むんだよとのこと。
さぁいけといわれていった私。カーッときました。やはり(爆)

【ホテルへと】(23:00)
ユーリ氏が車で送ってくださることに。加藤氏は、アンドレ氏の車で。 外が寒く、そして、加藤氏の被っているロシア風の帽子がとても気に入り、明日どこで買ったらよいのかと尋ねたら、
「これあげるよ」
といわれて、素直にもらってしまいました。いやぁ暖かい。日本で被ると変な目でみられるかな。でも暖かい。シンプルで好き。 加藤様、ありがとうございました。
さて、店の前に止めてあったユーリ氏の車、本間氏、港氏、私が乗り込み、いざ帰宅。とおもいきや、いきなりポリスが・・。 なにやらロシア語で・・・。どうやら、バックしてはいけなかったところらしい。といってもほんの数メートルなのに・・・。 日本でいう切符をきられてしまった模様。ユーリ氏、災難!

【ホテル】(24:00)
録音は、始めに録ったやつだけもう一度明日やるとのこと。 これは、技術的な問題のためということだそうです。マイクのセッティング位置とかかなぁ。
とにかく寝る!寝る!おやすみなさい。

■3.22 THU
【早朝】(4:00)
日本に帰った次の日がコンサートなので、時差ボケしている暇はない。と思い、この時差6時間を計算して4時に起きました。 昨日に続き、ホテルの中だとやることがないので、こんな早朝に散歩。昨日、ホテルのドアマンのおじさまに、
「君のそのスタイルは夏だねぇ」
「手袋かそうか?」
みたいなことを言われて、恥ずかしい思いをした(してないしてない)(笑)。
今日もまた、こんな早朝に散歩するなんて、お馬鹿だと自分でも思う。今日最後だし・・・。 ところが、この時間、モスクワだけどさすがに人がいない。 ホテルの周りのワンブロックか、ツーブロックを一周。ちょうど1時間くらい。 その間、Policeの車が寄ってきては、何も言わずに去っていくこと数回。
途中、女の人の悲鳴が聞こえた。男の人に追われた女の人が、道路にでてきた。コートを捕まれ、コートを捨てて、逃げていた。
(なんだ?なんだ?)
と思っていると、道のど真ん中にPOLICEがすーっと車できて、男の人を拉致。その間、女の人は連れ(?)の男性とダッシュで逃走。 なにがなんなんだか・・・。
私もそのまままっすぐホテルへ向かいました。
モスクワの雪は、さらさらしています。風が吹くとサーァっと白い雪煙が地面を這います。きれいです。寒いけど。
雪国育ちではないので、なんか幻想的でした。全体に街は暗いけどね。
(東京の雪ってすぐ茶色になって、汚くなってビチャビチャになるからねぇ)

【朝食】(9:00)
散歩のあと一眠りしてしまったので、今日は9時になってしまった。 ルームサービス頼み忘れたので、一人でレストランへ。
バイキング形式でした。ライスが・・・・みつからなかった。卵の調理方法がよくわからないので
「マッシュルーム入りオムレツ」
とかいって、作ってもらいました。上手だよねぇ、コックさんって。
一人でいったから一人の席かとおもったら、なーぜか、相席でご案内。おいおいおい。
ご夫婦のドイツ人かな?ヨーロッパ人でした。40歳くらいかな(適当)。
「Morning」と挨拶だけして、もくもくと食べていると、話し掛けられてしまった。少しうれしかったりする。
別れ際に、「私は日本のお辞儀できるんだ・・・」とかいって、し始める彼。手はどうするんだ?ときかれたので、手は横だといって、見本をみせた私。 そう、レストランで(笑)。もちろん、それをみていた周りの外人様方からは笑いが。ついでにホテルの従業員たちからも笑いが。 もう笑うしかないねぇ。よくよく話をきくと彼のひいひいおばあさんが日本人らしい。(ヒアリング自信なし)。

【散歩】(10:00)
箏はスタジオだし、やることがない。また散歩。 今度は昼間。観光客が多かった。赤の広場のほうへいって、ショッピングモールをみて、友人に頼まれていたマトリオーシカ?らしきものをみて、お金をホテルに置いてきたことに気づいて、戻るには遠くて、ただひたすらぶらぶらと。 途中3回ほどPoliceに尋問されました。

「パスポートは?」
「ビサは?」
「Have a good day!」 −−−> いうわけないって
さっきそこでもやられたのに・・・みたいな顔したけど、だめだった(笑)。おとといの夜の経験もあるので、パスポートとビサだけは持ち歩いていた。
(なぜそこに財布がないのだ)

【スタジオ】(14:30)
作曲の加藤氏が、風邪でDown。外と内、温度の変化が激しすぎ。
それとも、昨日、私が帽子を奪ってしまったからか・・・。あんなに寒い中。
(反省)

昨日と同じ場所(モスクワ放送局)で録音。私は一曲だけなのだけど、はまってしまった。 そういえば、昨日も最後の曲ではまったのがありました。(今思い出した)
昨日のはまりは、同じメロディーを8回演奏するのだけど、回数がわからなくなるのだ。 そりゃ、数えることはできるのだけど、とてもメロディーが綺麗でついつい入り込んでしまう。 それとタイミングを指揮者、オーケストラに合わせることに神経を使っていて回数が飛んでしまう(笑)
(笑っている場合ではない)(殴)
ユーリ氏(指揮者)がメロディーの途中で指を一本たてて、合図をくれていたのは知っているのです。 が、それがラストワンなのか、モアワンなのか・・・最後なのか、あと一回なのか・・・。 結局ヴィオラのTOPの人が英語で
「あれは、ラストワンの合図だよ」
と教えてくれました。でもこの時点で2回ミスしています。既に。(Sigh)
今度こそ!と思い(3回目)、ラストワンの合図をみて演奏をやめると・・・なぜかオーケストラは演奏している。がちょーん。 謝ること3回目。ラストワンの合図あったのに・・・。
と思っていると、同じヴィオラの人が
「今のは彼(ユーリ)のミスだよ。君の責任じゃない。気にしないで」
といってくれて、ロシア語でなにやらユーリ氏にいってくれていました。とても救われました(笑)
その前に、自分で数くらい数えておけってか。(そのとおりです・・・)

今日のはまりは、オーケストラが演奏してきて、最後のひとくされを私が演奏するという曲。
そう、その最後の和音がつかめず、間があいてしまってNG。
音をはずしてNG
さらに音をはずしてNG
でなんとかTake4で終わり。ご迷惑をおかけしました。みなさま。そしてありがとうございました。
オーケストラのメンバーが縮小されて5月にサントリーホールにくるらしい。
「I will come !」
といって、お別れしました。残りの録音がんばってください。

【空港(モスクワ)】17:00
みんなは、まだまだ録音あるのでスタジオでお別れ。アンドレ氏が空港まで送ってくれました。もちろん手続きもしてくれました。 箏があるのでその手配もしてくれました。Gateをくぐるところでお別れ。いろいろとありがとうございました。
さて、空港内。チケットとパスポートは持っている。ビザは、空港で取られてしまっておしまい。 待ち時間2時間あるので、買い物でも・・・・・・と思いきや、財布がない。カードもない(財布の中)。
(なくしたわけではない)(荷物の中に入れて預けてしまったのです)
小銭もない。なにも飲めない。ま、またかい。行きもそうだったのに。ポケットに小銭があった。 時間潰しのタバコを買いにいくと、カートンでしか売っていないとのこと。
(よく私の変な英語が通じるなぁとわれながら関心)(笑)
1Boxだけほしいというと、2FのBarで売ってるかもと教えてくれた(と思う)。1Box分のお金しかないのだ。小銭だから。 そのBarでは確かに売っていた。けれどセイラムピアニッシモはなかった。かばんの中にはたくさんあるのに・・・。(sigh)
しょうがないのでマルボロライトなるものを購入。マッチもらおうとしたら、ない・・・とのこと。えぇ!結局吸えないではないかぁ。 いや、まて、火くらい借りればいいのだ。でも誰に?
TOKYO行きの便だから、日本人もちらほら。パリからのトランジットの人たちが多く、だんだん増えてくる。いつしか待合室一杯に。
(うーん、JapanesePowerだ)
そんな日本人たちになぜかタバコの火を貸してくれと言えず(なぜだろう、理由はわからない)、それなら外人さんにと思い、いざ!
「Can I get the Fire?」
何か違う気がする。はてさて、タバコの火を貸してとはなんというのだろう。学校で習わなかった(笑)
結局英語でも言えず、タバコは吸わず。タバコ買ったので飲みものも買えず。箏と一緒にボーっと待っていました。
(長かったなぁ)
卒業旅行なのだろうか、若い日本人がわいわいといた。 いつも私もうるさいのだけど、さすがに今日は疲労気味。 そういう彼ら、彼女らの声が、耳につく。ま、まさか、彼らビジネスじゃないよね?だったら文句いうぞ!と変なところで変な決意をしていた自分(笑)
一人二人の旅行者は静か。4人以上は異様にうるさい。私も今後気をつけようと思いました。

【機内】
行きと同じく、ビジネスの最後尾の後ろに箏を置かせていただきました。 本当にLuckyです。
機内食も食べましたが、ほとんど寝ていました。ぐっすりと。隣(真ん中1つ空けて)の外人さんとまた軽くお話して、お互いぐっすりと。 なぜか起きる時間もほとんど同時(笑)。GoodNight。

■3.23 FRI
【成田空港】
10時過ぎに到着となりました。半分ボケているのか、眠りすぎてこうなのかは不明。
とりあえず成田エキスプレスのチケット購入。これが4000円弱なので、手持ち資金が3桁に突入(爆)
緑の窓口で行きの成田エキスプレス9号のチケット清算をする。結局800円バック。思い出したように腹がたってくる。 変な会社だ。まったく。
あとはゆっくりと新宿へ。友人がTaxiで南口まで出迎えてくれて、そこからTaxiで自宅まで。助かった(笑)
思っていたより疲れたみたい。とりあえず家に帰って寝ます。

短かったけれど、いろいろと楽しかった。今度は仕事なしで外国いきたい。。。。と改めて思いました。